SCD(脊髄小脳変性症)
脊髄小脳変性症の分類
① 孤発性
• 多系統萎縮症(MSA)
➢ MSA-C(オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA))
➢ MSA-P(線条体黒質変性症(SND))
➢ Shy-Drager(シャイ - ドレーガー)症候群(SDS)
• 皮質性小脳萎縮症(CCA)
② 遺伝性
• 常染色体優勢遺伝
• 常染色体劣性遺伝
[1] MSA – C(オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA))
Intro.
• 孤発性の脊髄小脳変性症の中で最多の疾患.
• 小脳症状を初期症状とし, 進行するとパーキンソニズム, 自律神経症状なども出現する.
• 下オリーブ核, 橋, 小脳に高度な変性がみられる
Minimum Essence
① 好発:中高年(家族内発症・遺伝なし)
② 体幹失調・酩酊歩行, 四肢の協調運動障害, 構音障害などで発症.
鼻指鼻試験, 踵膝試験, 手回内・回外試験などで異常がみられる
③ 頭部CT・MRIで小脳, 脳幹の萎縮がみられる. MRIで橋底部に十字サインが認められる
④ 進行すると, パーキンソニズム, 自律神経症状, 錐体路徴候なども出現する
1. MSA - Cの臨床経過
• 発症 → 小脳症状 : 何もないところでつまずく
• 2 〜3年 → その他の症状の出現 : パーキンソニズム, 自律神経障害が出現. 錐体路徴候も.
• ↓ 機能低下の進行 : 歩行困難でW/C, 構音障害の進行で口頭でのコミュニケーションが困難.
• 5〜10年 → 寝たきり:感染症などで死亡することが多い. 睡眠中に突然死することも.
※ パーキンソニズムが加わると, 小脳症状は目立たなくなる.
2. 十字サイン
• 橋の横走線維の変性によって十字状の異常信号が現れる. 小脳・脳幹の萎縮による第四脳室の拡大もみられる
[2] MSA – P(線条体黒質変性症(SND))
Intro.
• パーキンソニズムを初期症状とし, 進行すると小脳症状, 自律神経症状なども出現する.
• 被殻, 黒質に高度な変性がみられる
Minimum Essence
① 好発:中高年(家族内発症・遺伝なし)
② 無動, 筋強剛(固縮), 小刻み歩行などで発症(安静時振戦や症状の左右差の出現は稀).
③ 頭部MRIで被殻の萎縮がみられる
④ 進行すると, 小脳症状, 自律神経症状, 錐体路徴候なども出現する
1. パーキンソニズム
• MSA-Pでは, 大脳基底核系(線条体, 黒質)の変性によるパーキンソニズムが特徴的である
• パーキンソニズム(錐体外路症状)
➢ 無動, 固縮, 小刻み歩行
➢ 安静時振戦は稀
[3] Shy – Drager症候群(SDS)
Intro.
• 自律神経症状を初期症状とし, 進行すると小脳症状, パーキンソニズムなども出現する.
Minimum Essence
① 好発:中高年(家族内発症・遺伝なし)
② 起立性低血圧, 食事性低血圧, 排尿障害, 便秘, Horner症候群などで発症.
③ 頭部CT・MRIでMSA-CおよびMSA-Pと同様の所見を様々な程度に合併する
④ 進行すると, 小脳症状, パーキンソニズム, 錐体路徴候なども出現する
1. 自律神経症状
• SDSでは自律神経症状が特徴的である
• とくに起立性低血圧は著名で, 血圧低下によって起床不能となり, 寝たきりになってしまうことがある
• 起立性低血圧や排尿障害などの自律神経症状に対して, 対症療法が試みられる(下肢に弾性包帯)
• 主な症状
➢ 起立性低血圧, 発汗低下, 排尿障害, 勃起障害, Horner症候群(眼瞼下垂, 縮瞳, 発汗低下)
※ 多くは片側性で, 日差変動や左右交代性にみられることがある
国家試験問題
(1)伝い歩きが可能なレベルの脊髄小脳変性症患者で姿勢バランスを崩す危険性が高いのはどれか. (48A36)
1. 閉脚立位
2. 片膝立ち位
3. 四つ這い位
4. タンデム位
5. 踵接地でのしゃがみ位
解答と解説はこちらから↓
解答_解説.pdf
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