難病⑤重症筋無力症 (MG)




Intro.
• 神経筋接合部において, アセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在する
• 神経筋接合部での伝達障害がみられる自己免疫疾患
• 筋の易疲労性や脱力をきたす
• 有病率は5.1 / 10万人で胸腺腫を伴うことが多い
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1. MSの症状
• 重症筋無力症では, 顔面筋, 眼瞼挙筋, 外眼筋, 四肢近位筋などの筋力低下および易疲労感をきたす
• 初発症状:眼瞼下垂, 複視
• 症状は運動により増悪し, 休息により改善する
• 日内変動:朝より夕方に出現しやすい

1.1. 分類
眼瞼型:筋力低下が眼筋にとどまる.
 ➢ 眼瞼下垂, 複視を呈する
全身型:眼症状だけでなく, 筋力低下が全身におよぶ(眼症状がない場合もある).
 ➢ 顔面筋麻痺
 ➢ 四肢近位筋・体幹筋の筋力低下
 ➢ 嚥下障害, 咀嚼障害, 構音障害, 呼吸筋麻痺(重症例)を呈する



2. 胸腺腫の合併
• 重症筋無力症の約15%に胸腺腫が合併する(特に中高年の男性で多い).
• 重症筋無力症の約65%に胸腺過形成などの胸腺の異常が認められる.
• つまり, 重症筋無力症の約80%に胸腺の異常が認められる.
• ちなみに, 胸腺腫の約30%に重症筋無力症が合併する.

3. テンシロン試験®︎ (エドロホニウム試験)
• 重症筋無力症患者では, 短時間作用型抗ChE薬であるテンシロン®︎(塩化エドロホニウム)の静注により, 一過性に筋力が回復する(テンシロン®︎試験陽性).
• テンシロン®︎の効果は超短時間にとどまるため, 治療に用いることはできない

4. クリーゼ
• 下記のような誘因によって急激な筋力低下, 呼吸困難をきたす(急性増悪)ことをクリーゼという.クリーゼ.png





国家試験問題
(1)重症筋無力症について正しいのはどれか. 2つ選べ.(48A90)
1. 筋電図検査において末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる.
2. 抗アセチルコリン受容体抗体陽性率は10%である.
3. 症状の日内変動がある.
4. 嚥下障害の合併はない.
5. 眼瞼下垂がみられる.

(2)重症筋無力症で正しいのはどれか. (49A89)
1. 女性より男性に多く発症する.
2. 四肢では遠位の筋力低下が起きやすい.
3. 夕方にかけて症状は軽快する.
4. 末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる.
5. コリンエステラーゼ阻害薬が用いられる.

(3)重症筋無力症について正しいのはどれか. (52P88)
1. 起床時に症状が強い.
2. 悪性腫瘍の合併が多い.
3. 自己免疫性疾患である.
4. 女性よりも男性に多い.
5. 40歳以前の発症は稀である.




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