難病④Guillain-Barre症候群

ギラン・バレー(GBS : Guillain – Barre症候群)

Intro.
GBSは, 免疫・炎症性ニューロパチーの代表的疾患であり, 急性の運動麻痺を主徴とする多発根ニューロパチーをきたす. 自己免疫反応による末梢神経の髄鞘(シュワン細胞)の障害が原因と考えられてきたが, 軸索を直接障害する病型も存在することがわかってきた. 多くは自然回復するが, 一部重篤化することもある.

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1. GBSの病型分類

脱髄型:神経軸索の髄鞘のみが障害される
軸索型:神経軸索そのものが障害される(髄鞘も含む)→ 重症例

2. GBSの先行感染と急性末梢神経障害

2.1. 先行感染
• GBS発症患者の約70%に認める.
• 先行感染は感冒様症状で, 上気道感染や下痢, 発熱, 胃腸炎などがみられる.

2.2. 急性末梢神経障害
• 先行症状の1〜3週間後, 急激な運動麻痺が生じる. 感覚障害は無いか軽度であることが多い.
• 運動麻痺:四肢筋力の低下・脱力, 呼吸筋麻痺(重症例)
• 感覚障害:四肢末端で優位
• 自律神経障害:血圧・脈拍異常など(ほとんどみられない, 重症例



3. GBSの検査

3.1. 髄液検査
ルンバール検査
蛋白細胞解離:細胞数の増加を伴わない蛋白上昇


4. FS(Fisher症候群)

外眼筋麻痺, 運動失調, 腱反射消失 を3主徴とする症候群で, GBSの亜型と考えられている
• FS = GBS + 失調症状
• 予後は良好である


国家試験問題
(1)25際の男性. Guillain-Barre症候群. 発症後3日で運動麻痺は進行しており, 呼吸筋麻痺のため人工呼吸器管理中である. 理学療法で適切でないのはどれか. (50p - 8)
1. 体位変換
2. 筋力増強運動
3. 胸郭ストレッチ
4. 関節可動域運動
5. 30°程度のリクライニング位

(2)軸索変性型のGuillain-Barre症候群で適切なのはどれか. (48a - 38)
1. 発症後1週間経過すれば高負荷の訓練は可能である.
2. γ - グロブリン大量療法中に運動は行わない.
3. 下垂足に対して軽量の短下肢装具を作製する.
4. 手内筋麻痺は3か月以内で回復する.
5. 発症後6か月間で症状は固定する.




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解答_解説.pdf






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