基本的な心電図波形は, P, Q, R, S, T波(U波も存在する)から成り立っている.
<POINT>
P波:心房筋の興奮(脱分極・収縮)
PQ間隔:房室間興奮伝導時間
QRS波:心室筋の興奮(脱分極・収縮)と心房筋の再分極
ST部分:心室全体が興奮している
T波:心室筋の再分極
下の図は, 心臓の刺激伝導系のそれぞれの興奮を示す. これらの興奮の順番が統合された合計が心電図として計測される.
<心電図の記録>
●記録用紙
・縦軸1mm = 0.1mV(電圧)
・横軸1mm = 0.04秒(時間)
●基準値
・較正波:1mVが記録用紙上で10mm
・記録用紙は25mm/秒の速さで流れる
●誘導方法
①四肢誘導(前額面より観察)
②胸部誘導(水平面より観察)
①四肢誘導
(1) 双極誘導
第1誘導:左右の手の電位差
第2誘導:右手と左足の電位差
第3誘導:左の手と足の電位差
覚え方は
「手から始まって(左右の手の電位差), 反時計回りに, 左で終わる(左の手と足)」
(2)単極誘導
②胸部誘導
V1〜6誘導がある. 下図のように水平面での心臓の動きを観察できる
●心拍数の測定
1つ目と2つ目のR波の間隔によって, 心拍数を計算する.
例えば, 1つ目と2つ目のR波の間隔が, 心電図の記録用紙において「20マス(20mm)」だった場合
1mm = 0.04秒であるため, 両辺を20倍すると
→ 20mm = 0.80秒
つまり, 0.8秒に1回心臓が動いていることがわかる.
心拍数は, 「1分間に何回心拍が起こるか」の回数であるため, これを1分間に換算する.
1分間は60秒であるため,
60秒 ÷ 0.8秒 = 75回
よって, 「心拍数は75回」と算出できる
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国家試験問題
(1)心電図について正しいのはどれか. (46-A65)
1. P波は洞結節の興奮に対応する
2. PQ間隔は心房内の興奮伝導時間である
3. QRS間隔は心室全体への興奮伝導時間である
4. ST部分は心室の再分極する過程を示す
5. T波はPurkinje線維の再分極に対応する
(2)心電図で正しいのはどれか. (39-34)
1. 通常, 横軸の1mmは0.5秒に相当する
2. 第1誘導は, 左足と右手の電位差を誘出している
3. 胸部誘導は心筋の前額面における脱分極を誘出している
4. QRSは心室全体への興奮の拡がりを意味している
5. T波は心房の再分極によって生じる
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