呼吸器⑥肺容量

■肺容量

●呼吸量
(1)一回換気量(TVTidal Volume)

安静にして普通に呼吸をした時の吸気と呼気の量
平均基準値約500mL

(2)予備吸気量(IRVInspiratory Reserve Volume)

安静吸気位からさらに吸い込むことができる空気量
平均基準値約2,000〜3,000mL

(3)予備呼気量(ERVExpiratory Reserve Volume)
安静呼気位からさらに吐き出すことができる空気量
平均基準値約1,000〜1500mL

(4)残気量(RVResidual Volume)
最大限まで呼気をしても肺内に残っている空気の量
平均基準値約1,000〜1500mL



(5)最大吸気量(ICInspiratory Capacity)
安静呼気位から最大限空気を吸った時の量
平均基準値約2,000〜2,500mL

(6)機能的残気量(FRCFunctional Residual Capacity)
安静呼気位における肺内の空気の残量.
平均基準値約1,000mL

(7)肺活量(VC or FVC:(Forced)Vital Capacity)
最大吸気の後, 最大呼息を行い吐き出したときの空気の量.
平均基準値約3,500ml〜4,500mL

(8)全肺容量(TLCTotal Lung Capacity)
肺全体の容量.
平均基準値約4,500〜5,500mL

(9)死腔
ガス交換に関わらない気道の容量.
平均基準値約150mL



<覚え方のポイント>
吸気はIn「入る」, 呼気はEx「出る」(Exitは出口とかいいますよね)

4つのVolume4つのCapacityに区別して覚える


●%肺活量と1秒率
(1)%肺活量
年齢や性別, 体格などによって推定される「予測肺活量」に対する患者本人の「実測肺活量」の割合.

(例1)予測肺活量 5,000mL, 実測肺活量 5,500mLの場合
→ %肺活量は110%

(例2)予測肺活量 5,000mL, 実測肺活量 4,000mLの場合
→ %肺活量は80%

<ポイント>
1. %肺活量では, 実測肺活量が予測肺活量を上回ることがあるため, 100%を超えることもある.

2. %肺活量の正常値は80%以上であり, 80%を下回ると, 拘束性換気障害


-------------------------------------

(2)1秒率
患者本人の実測肺活量に対して, 1秒間で呼出できる空気の量(1秒量)の割合.

(例1)実測肺活量 5,000mL, 1秒量 3,500mLの場合
→ 1秒率は70%

(例2)実測肺活量 5,000mL, 1秒量 5,000mLの場合
→ 1秒率は100%

<ポイント>
(1) 1秒率では, 1秒量が実測肺活量を上回ることが無いため, 最大で100%である.

(2)1秒率の正常値は70%以上であり, 70%を下回ると, 閉塞性換気障害


-----------------------------------
%肺活量が80%以下, 1秒率が70%以下の場合 → 混合性換気障害







国家試験問題
(1)誤っているのはどれか.
1. 残気量 = 全肺気量 ー 肺活量
2. 肺活量 = 予備呼気量 + 最大吸気量
3. 予備吸気量 = 最大吸気量 ー 1回換気量
4. 予備呼気量 = 全肺気量 ー 最大吸気量
5. 機能的残気量 = 予備呼気量 + 残気量








↓正解と解説はこちらから
解答_解説.pdf





この記事へのコメント

  • 2番肺活量
    予備吸気量+一回換気量+予備吸気量ではないでしょうか。
    2021年07月29日 12:03

  • >さん
    >
    >2番肺活量
    >予備吸気量+一回換気量+予備吸気量ではないでしょうか。

    それも正解です.
    最大吸気量 = 一回換気量+予備吸気量
    が成り立つため,
    肺活量 = 予備呼気量 + 最大吸気量
        = 予備呼気量 + 一回換気量+予備吸気量
    も正解です.
    2021年09月24日 14:10
  • なおちゃん

    勉強になりました。
    参考文献はありますか?
    2021年11月02日 13:57
  • なおちゃん

    勉強になりました。
    参考文献はありますか?
    2021年11月02日 13:57