呼吸器⑤酸塩基平衡

■ 酸塩基平衡

ヒトの細胞は, 血液中のpHが7.35〜7.45の範囲に維持されていなければ十分な機能を発揮できないとされている. 血液のpHを調節する臓器は「肺」と「腎臓」である. 肺ではCO2の増減により, 腎臓ではHCO3イオン(重炭酸イオン)の増減によりpHの調節を行なっている.



<ポイント①>
● ヒトの細胞の正常なpH:pH 7.4 (± 0.05 )
アシドーシス:正常値よりも小さいpH. 酸性に傾いた状態
アルカローシス:正常値よりも大きいpH. アルカリ性に傾いた状態

◎ 血液中のpHを調節する臓器: & 腎臓
◎肺:CO2(酸性の物質)の増減によりpHを調節
◎腎:HCO3イオン(アルカリ性の物質)の増減によりpHを調節



■呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシス

呼吸性アシドーシス
呼吸運動が制限されると, CO2を体外に排出することが困難となる.
すると, CO2(酸性の物質)体内に増大.
体内の酸性物質の割合が大きくなることでpHは低下.
これは呼吸が原因であるため, 呼吸性アシドーシスという.


呼吸性アルカローシス
呼吸運動が過剰になると, CO2は体外に過剰に排出されてしまう.
すると, CO2(酸性の物質)体内から減少.
体内の酸性物質の割合が小さくなることでpHは上昇.
これは呼吸が原因であるため, 呼吸性アルカローシスという.



■代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシス

代謝性アルカローシス
腎臓での濾過機能が障害されると, 尿としてHCO3イオンを体外に排出することが困難となる.
すると, HCO3イオン(アルカリ性の物質)体内に増大.
体内のアルカリ性物質の割合が大きくなることでpHは上昇.
これは代謝が原因であるため, 代謝性アルカローシスという.


代謝性アシドーシス
体内で酸性物質が多く産生されると, それを中和するために, アルカリ性のHCO3イオンを利用します.
すると, HCO3イオン(アルカリ性の物質)体内から減少.
体内のアルカリ性物質の割合が小さくなることでpHは低下.
これは代謝が原因であるため, 代謝性アシドーシスという.



■国家試験問題
(1)CO2と換気との関係で正しいのはどれか. (46-P64)
1. 換気が低下すると呼吸性アルカローシスを生じる
2. 代謝性アシドーシスでは換気が増大する
3. PaCO2は通常24Torrに維持される
4. PaCO2は呼吸性アルカローシスで上昇する
5. PaCO2が低下すると換気が増大する.

(2)誤っているのはどれか. (42-28)
1. アシドーシスとは血液のpHが7.0未満の場合をいう.
2. PaCO2が上昇すると換気が増大する
3. 代謝性アシドーシスでは換気が増大する
4. 換気低下で呼吸性アシドーシスを生じる
5. 呼吸性アルカローシスではPaCO2が低下する

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