神経の興奮伝導③シナプス結合と神経筋接合部

今回は神経の興奮伝導の第三弾, 「シナプス結合」と「神経筋接合部」についてまとめていきます.


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A. 概要

●ニューロンとニューロンとの結合部を「シナプス」といいます.

●神経細胞体から一本の軸索が伸び, その軸索が複数のシナプスを形成します.

●シナプスは, 実際にニューロン同士が接しているのではなく, 「シナプス間隙」という隙間があります.

●神経線維を伝導してきた電気的興奮が伝わると, 神経伝達物質を放出し, 次のニューロンに「伝達」します.


B.シナプス伝達

1. シナプス節前ニューロンの興奮が軸索末端に伝導してきます.

2. 軸索末端にあるシナプス小胞に蓄えていた神経伝達物質(ノルアドレナリンやアセチルコリンなど)がシナプス間隙に放出されます.

3. 神経伝達物質はシナプス間隙を拡散し, シナプス節後ニューロンにある神経伝達物質の受容体に結合します.

4. 3によりシナプス後電位が変化し, シナプス節後ニューロンで活動電位が生じます.


シナプスでは, 興奮は1方向にしか伝達されません.

●間違えやすいポイント
→ 活動電位が生じて伝わること…"伝導"
→ シナプスでニューロンから次のニューロンに刺激が伝わること..."伝達"
※伝わる速度は 伝導 > 伝達

●シナプス遅延
シナプスの伝達では通常2〜5ミリsecの時間を要し, シナプス遅延が生じる. 伝達は伝導よりも遅い.

●伝達のブロック
神経伝達物質などの化学物質は, 細胞体から軸索を伝わって補充されます. 補充には時間を要するため, 繰り返し興奮が起こると化学物質が枯渇し, 伝達はブロックされます.



C. シナプスの興奮様式


発散:1つの神経突起が多数の神経細胞とシナプスを形成する

収束:多数の神経線維が1つの神経細胞とシナプスを形成する



興奮性:興奮性伝達物質が電位をプラスの方向へ変化させる

抑制性:抑制性伝達物質が電位をマイナスの方向へ変化させる


◎抑制性ニューロンがつくる回路
シナプス後抑制:シナプス節後ニューロンに直接働きかけ, 興奮性の伝達と抑制性の伝達を合することで抑制する

シナプス前抑制:興奮性のシナプス節前ニューロンに働きかけ, シナプス節後ニューロンへの伝達を抑制する



D. 神経筋接合部

●神経筋接合部
運動神経が骨格筋に接合する部分です.
ここも構造上は一種のシナプスであり, 節後ニューロンが筋になっただけです.

シナプス遅延:シナプス同様に, 1ミリ程度のシナプス遅延が生じる

伝達物質:アセチルコリン




いかがでしょうか.
では, この範囲で出題される国家試験問題をみてみましょう.
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(1)末梢神経で誤っているのはどれか (40-6)
1. 神経内膜は個々の神経線維を包んでいる
2. 髄鞘と髄鞘の切れ目をランヴィエ絞輪という
3. 1個のシュワン細胞が複数の無髄の軸索を包んでいる
4. シナプスの終末ボタンと樹状突起との間には間隙がある
5. 一本の軸索は1個のシナプスを形成する
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いかがでしょうか.
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