筋の構造と機能⑥筋収縮の調節と運動単位

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さて, 今回は筋の構造と機能第六弾「筋収縮の調節と運動単位」についてまとめていきたいと思います.

国家試験では「運動単位に含まれないのはどれか」のような問題が出題されたりしています.
改めて確認し, 確実に取れる範囲にしていきましょう.


それでは, 最初にこの範囲で出題される国家試験問題を見てみましょう.










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(1)骨格筋の収縮について正しいのはどれか (48-A62)
1. 単収縮を加重させても収縮力は変化しない
2. 筋線維の活動電位の持続時間は単収縮の持続時間よりも長い
3. 電気刺激を与えた場合, 単収縮に先行して活動電位が生じる
4. 電気刺激で1秒間に5〜6回の単収縮を起こすと強縮となる
5. 単収縮の頻度が過剰になると完全強縮から不完全強縮に移行する
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いかがでしょうか.
見慣れない言葉は「加重」や「強縮」, あるいは分からないところは活動電位のタイミングでしょうか.
今回はこの辺りの理解を深め, この問題が解けるようにまとめていきます.















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(1)筋収縮の様式

●単収縮と強縮
1. 単収縮(ツイッチ, twitch)

1回の活動電位に対して1回の収縮が起こることを言います.

1本の筋線維については収縮の大きさは全か無かの法則に従います.



2. 強縮(テタヌス, tetanus)

頻回の活動電位に対して, 持続的な収縮が起こることを言います.

単収縮の加重により, 単収縮よりも大きな収縮高となります. そのため, 収縮高は全か無かの法則には従いません.




●強縮
A. 加重のメカニズム(デジタル - アナログ変換, D - A変換)

1. 筋線維の膜の一回の脱分極によって筋小胞体から放出されるカルシウムイオンの量は一定となります. (デジタル信号)

2. 頻回の活動電位により, 連続した脱分極が起こることで, 連続的にカルシウムイオンが放出されます.

3. すると, 細胞内に放出されたカルシウムイオンの細胞内での濃度が上昇していきます. (アナログ信号)

4. カルシウムイオンが高濃度に維持されたことで, アクチンとミオシンの間にできるクロスブリッジが繰り返されます.





B. 不完全強縮
単収縮の融合が見られるが, 活動電位の頻度が小さいため, 横軸に時間をとった収縮曲線が滑らかにならない場合をいいます.





C. 完全強縮
不完全強縮よりも頻回な活動電位により, 単収縮の融合が見られ, 横軸に時間をとった収縮曲線が滑らかな曲線を描くものをいいます.

ひとつひとつの刺激と刺激の間隔が, 単収縮による収縮期よりも短いため, それにより弛緩する時間がなく, 完全な強縮となる.

※ ヒトの完全強縮となる活動電位の頻度
◎遅筋線維:30Hz程度
◎速筋線維:100Hz程度




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(2)骨格筋の神経支配

●運動単位
運動単位とは, 1つの体性運動ニューロン(α運動ニューロン)と, それが支配する筋線維総称です.
筋それぞれは, 多数の運動単位を持ちます.





<Point>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神経の伝導路のところで詳しく説明しますが, 運動単位には"皮質脊髄路(錐体路)"が含まれない. ということを頭に入れておきましょう.

ひっかけ問題として, 「錐体路は運動単位に含まれる」や「中心前回(運動野)は運動単位に含まれる」などがあります.

しかし!運動単位はあくまでも, α運動ニューロン以降を指します!!

なので, 脊髄の前角でα運動ニューロンに乗り換えるまでは運動単位ではありません.

ここをしっかりと理解しておきましょう. 運動に関係するからといって, 皮質脊髄路, 錐体路などは含まれません.
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●骨格筋の神経支配比
1つの体性運動ニューロンが支配する筋線維の範囲のことをいいます.

微細な運動制御を必要とし緻密な運動を行う筋では, 神経支配比が小さいです.
(e.g.) の指, 顔面の筋

粗大な筋張力が必要とされる筋では, 神経支配比が大きいです.
(e.g.) 下肢の筋, 体幹の筋, 上肢の筋など





<Point>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神経支配比が小さいということは, たくさんの神経を要しているということです. 手先の動きは非常に繊細ですよね. それは一つ一つの神経は少ない範囲の筋を担当していますが, たくさんの神経が動員されているからです. それぞれをコントロールすることで, 緻密な動きを実現しています.

対して神経支配が大きいということは, たとえば下肢の大きな筋には少量の神経でコントロールをしているということです.
大きな筋肉は大雑把な動きでも問題はありませんよね. そのため, ひとつの神経で広い範囲の筋をコントロールしているのです.

神経の数が多い, 少ないは, 「ペンフィールドの脳地図」での「脳の支配領域」の広さと一致しているわけですね. ペンフィールドの脳地図を見てみてください. 顔面や手先の領域が広く, 体幹や上下肢の範囲は狭くなっています.


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いかがだったでしょうか.
それでは復習も兼ねて, 冒頭の国家試験問題を見てみましょう!





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(1)骨格筋の収縮について正しいのはどれか (48-A62)
1. 単収縮を加重させても収縮力は変化しない
2. 筋線維の活動電位の持続時間は単収縮の持続時間よりも長い
3. 電気刺激を与えた場合, 単収縮に先行して活動電位が生じる
4. 電気刺激で1秒間に5〜6回の単収縮を起こすと強縮となる
5. 単収縮の頻度が過剰になると完全強縮から不完全強縮に移行する
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いかがでしょうか.



正解と解説はこちらから↓
解答_解説.pdf








以上で今回の範囲を終了したいと思います!!
いかがだったでしょうか.

次回からは, 筋の構造と機能は一旦終わり, 新しく「関節」についてまとめていきたいと思います!!



この記事へのコメント

  • 強縮の後、もとの状態まで完全に弛緩しなくなる理由は何ですか?
    2020年07月16日 01:00
  • >さん
    >
    >強縮の後、もとの状態まで完全に弛緩しなくなる理由は何ですか?

    完全強縮の際の加重のことを仰っているのであれば,弛緩する前に次の強縮を起こす刺激が時々刻々と入力されているためです.弛緩する時間を与えないというイメージです.
    2021年09月24日 14:19