筋の構造と機能⑤骨格筋の種類と筋張力

今回は, 筋の構造と機能の第五弾, 「骨格筋の種類と筋張力」についてまとめていきたいと思います.
筋の形は...覚えるしかないですね...
生理学のように, 「何が」「どうなって」「だから」「こうなる」というようなことがありませんからね...
覚えるのはなかなか難しいかもしれません.
ただ, 筋名にヒントがある筋肉も多いので, それをヒントにうまく覚えていけるといいでしょう.

筋張力はきちんと仕組みがわかれば解ける問題が多いと思います.

ではさっそく, 今回の範囲をまとめていきたいと思います.
その前にまずはこの範囲の国家試験問題を見ていきましょう.



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(1)腓腹筋の形状で正しいのはどれか (37-4)
1. 二腹筋
2. 半羽状筋
3. 羽状筋
4. 多尾筋
5. 紡錘状筋
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(2)筋張力で誤っているのはどれか (41-21)
1. 活動張力と静止張力の和を全張力という
2. 静止張力は筋長とともに増大する
3. 発揮できる活動張力は筋横断面積に比例する
4. 求心性運動は遠心性運動より大きな張力を発揮できる
5. 求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が小さい
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いかがでしょう.
今回はこれらの問題が解けるようにまとめていきたいと思います.








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(1)骨格筋の種類


筋は形状から次のように分類されます.

1. 紡錘状筋
・長掌筋
・上腕二頭筋
・上腕筋
・半腱様筋
・ヒラメ筋

2. 羽状筋
・腓腹筋
・上腕三頭筋
・大腿四頭筋
・前脛骨筋

3. 半羽状筋
・半膜様筋
・大腿二頭筋

4. 二頭筋(〜四頭筋)
・上腕二頭筋(二頭筋)
・上腕三頭筋(三頭筋)
・大腿四頭筋(四頭筋)

5. 二腹筋
・顎二腹筋

6. 多腹筋
・腹直筋

7. 多尾筋
・深指屈筋
・浅指屈筋
・長掌筋

8. 鋸筋
・前鋸筋
・後鋸筋

9. 輪筋
・眼輪筋
・口輪筋

10. 板状筋
・頭板状筋
・頸板状筋


ひとまず以上のようにまとめられます.
4〜10の種類に関しては, もともとイメージがつきやすかったり, 筋名によってイメージができるものがあると思います.


<Point 1>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
多頭筋は「◯◯◯二頭筋」や「〇〇三頭筋」となっていることが多いです.

二腹筋も同様に, 「顎二腹筋」のように筋名に種類の名前が含まれます.

鋸筋, 輪筋, 板状筋に関しても, それぞれに筋名の中に種類の名前が含まれます.

多腹筋に関しては, 腹筋のシックスパックを思い起こせば簡単ですよね.

多尾筋は, 例でもあげたように深指屈筋, 浅指屈筋がイメージしやすいはずです. ひと塊りだった筋が各指に走行するために途中で分岐しますよね.
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ここで問題は
紡錘状筋, 羽状筋, 半羽状筋
ですよね.
正直, 筋肉の起始停止を覚えるときに, 図を見て絵を見て, どんな筋肉なのか形を覚えるしかないと思います.
簡単なポイントだけは, 以下にまとめてみようと思います.

<Point 2>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
比較的離れた2点をつなぐ筋は, 中央が膨らんで起始部や停止部が細長くなる「紡錘状」を呈することが多いです.

羽状, 半羽状は外形ではなく, 内部の筋線維の走行から判断されます.
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(2)筋張力

●筋線維の「走行に沿った断面積」に比例します.

●紡錘状と羽状筋の長軸に対する横断面積が等しい場合, 羽状筋では筋線維が斜走するため, 筋線維が斜走している分「走行に沿った断面積」が大きくなり, 紡錘状筋よりも大きな筋張力を発揮することができます.

●筋線維が長い場合, 直列する筋節の数が多くなるほど収縮速度が速くなります.(以前「筋収縮のメカニズム」でまとめた"スライディング現象"があちこちで起こるわけですね!そうるすことで速く収縮することができるわけです)

静止長:筋線維は何もしていなくてもある程度伸張された状態を保っています. その長さを静止長と言います.

●活動張力と静止張力
活動張力:静止長の時に最大の張力を発揮することができます.

静止張力:静止長からさらに伸ばされると, ゴムが元に戻ろうとする力に似た力が発揮されます. それが静止張力です.

全張力:活動張力と静止張力を合わせた合計を全張力といいます.

●筋線維の収縮速度は, 張力が小さいほど速くなります.

●筋収縮の種類
求心性収縮:筋収縮により, 起始部と停止部が近く収縮形式.
(e.g.) 机の上のコップを取り, 水を飲もうと口に近づけようと「肘関節を曲げる」ときの「上腕屈筋群の収縮」
(e.g.) 肘の屈伸運動の際にダンベルを持ち上げる時の上腕屈筋群

遠心性収縮:筋収縮は起きているが起始部と停止部が離れていく収縮形式
(e.g.) 水を飲んだ後, コップを机の上に乗せようと「肘関節を伸ばす」ときの「上腕屈筋群の収縮」
(e.g.) 肘の屈伸運動の際にダンベルをゆっくり下ろす時の上腕屈筋群

等尺性収縮:筋収縮が起こっているものの, 関節運動が伴わない収縮形式
(e.g.) 肘の屈伸運動の際にダンベルをある肘の角度で維持するときの上腕屈筋群
(e.g.) 空気椅子の際の大腿四頭筋(膝関節伸筋群)

これらの収縮形式のうち, 筋張力の発揮は以下のようになります.

 遠心性収縮 > 等尺性収縮 > 求心性収縮


●筋張力の決定
・筋張力は, 以下のもので決まります.

 1. 動員される運動単位の種類と総数

 2. α運動ニューロンの発火頻度
  発火頻度が高ければ「強縮」となり, 強い筋張力を発揮します

 3. 運動単位の発火時相(同時に数多くの運動単位が発火するか否か)
  ある筋を支配する複数の運動単位がバラバラに興奮するより同時に興奮した方が強い張力を発揮することができます.



●運動単位
・相動性運動単位:筋収縮が速く, 筋張力が強い「白筋線維」を支配するもの

・緊張性運動単位:筋収縮が遅く, 筋張力が弱い「赤筋線維」を支配するもの


●運動するときには, 持久的で筋張力の弱い運動単位がまず最初に参加します

●運動強度が高まると, 徐々に筋張力の強い運動単位が参加し始めます「サイズの原理」

▶︎つまり赤筋は閾値が低く, 白筋は閾値が高いということです.


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いかがでしょうか. それでは冒頭の国家試験問題をもう一度見てみましょう











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(1)腓腹筋の形状で正しいのはどれか (37-4)
1. 二腹筋
2. 半羽状筋
3. 羽状筋
4. 多尾筋
5. 紡錘状筋
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(2)筋張力で誤っているのはどれか (41-21)
1. 活動張力と静止張力の和を全張力という
2. 静止張力は筋長とともに増大する
3. 発揮できる活動張力は筋横断面積に比例する
4. 求心性運動は遠心性運動より大きな張力を発揮できる
5. 求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が小さい
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解けましたか???


正解と解説はこちらから↓
解答_解説.pdf






今回は以上になります!!
どうでしたでしょうか. 形状については解剖の教科書などをよくみて形を覚えていくことが将来的にも役にたつ重要なことだと思います.


次回は筋の構造と機能の最終回「筋収縮の調節と運動単位」についてまとめていく予定です.





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