前回まで"骨"のまとめをしていましたが, 今回からは"筋"をまとめていきます.
では, いつも通り最初に国家試験で出題された問題を見ていきましょう!
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(1)骨格筋と比較した場合の平滑筋の特徴はどれか
1. 単核細胞である
2. 横紋が見られる
3. 体性神経支配である
4. 電気刺激閾値が低い
5. 運動は随意的である
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いかがでしょうか?
まずはこの問題が解けるようにまとめていきましょう.
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(1)筋線維の種類
筋の75%は水分でできています. 筋は主に「骨格筋」, 「心筋」, 「平滑筋」の3つの種類に分けることができます. 人体には約400個の骨格筋(骨は約200個. 筋はその倍あると覚えよう.)があり, 体重の約40%を占めています.
1. 骨格筋
・部位:全身の骨格
・作用:関節の運動
・支配神経*:運動神経
・伝道速度*:速い
・随意性*:随意
・横紋*:あり
・細胞あたりの核:多核
・再生力:弱い
・閾値*:低い
・不応期*:短い
・疲労:しやすい
2. 心筋
・部位:心臓壁
・作用:心臓の運動
・支配神経*:自律神経
・伝道速度*:中程度
・随意性*:不随意
・横紋*:あり
・細胞あたりの核:単核
・再生力:なし
・閾値*:中程度
・不応期*:長い
・疲労:しにくい
3. 平滑筋
・部位:内臓, 血管壁
・作用:内臓壁の収縮運動, 血管径の調節
・支配神経*:自律神経
・伝道速度*:遅い
・随意性*:なし
・横紋*:なし
・細胞あたりの核:単核
・再生力:強い
・閾値*:高い
・不応期*:長い
・疲労:しにくい
*支配神経:運動神経は自分の意志により, 自律神経は自分の意志によらず筋の収縮が起こる.
*伝道速度:神経の種類によって伝道速度が異なる.
*随意性:随意→自分の意志通りに制御できる. 不随意→自分の意志によらず制御されている
*横紋:模様のこと
*閾値:神経伝達が起こる最小の値
*不応期:筋が一度収縮してから, 再び次の刺激で収縮するまでの時間. 不応期中では, 神経から刺激が伝達されても筋の収縮は起こらない
いかがでしょうか. 以下に簡単な解説を記載してみます.
<Point 1> 神経と随意性
心筋や内臓にある筋(=平滑筋)は, 自分たちの意志によって動かしたり止めたりできませんよね. もし, 心臓を常に考えながら動かしていたら, 動かし忘れた時に心臓は止まってしまいます. ですから, 自律神経によって, 自分の意志とは関係のないところで制御しているるのです. 自分の意志によらないものを"不随意性"といいます.
<Point 2> 伝道速度と閾値, 不応期, 疲労
骨格筋は, 身体を動かすために素早く, そして繰り返し収縮できる必要があります. そのため, 骨格筋を支配する運動神経は神経の伝道速度が速く, 閾値も低く(興奮しやすく)なっています. また, 神経から刺激が伝達されても筋収縮を起こさない不応期も短くなっています. 代わりに, 疲労はしやすいです.
心筋は, 身体全体に送り出す血液を心臓内に溜めて, そのあとに収縮することで血液を送り出さなければいけません. そのため, 血液が心臓内に流入する時間を確保するために, 不応期は長くなっています. 内臓の筋も素早く収縮する必要がないことを想像することができるでしょう. よって, 心筋, ならびに内臓筋は骨格筋と比べて不応期は長く, 伝道速度も遅く, 疲労しにくくなっています.
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いががでしょうか.
もともとの知識でイメージしやすい部分や, 初めて覚えなければいけない部分もあると思います. ただ覚えるのではなく, Pointでまとめたように, 少しイメージしやすい部分とこじつけて理解すると, 覚えやすいかもしれません.
では, 冒頭で掲載した国家試験問題を見ていきましょう
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(1)骨格筋と比較した場合の平滑筋の特徴はどれか
1. 単核細胞である
2. 横紋が見られる
3. 体性神経支配である
4. 電気刺激閾値が低い
5. 運動は随意的である
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解答と解説はこちらから!
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解答_解説.pdf
以上で筋の種類についてのまとめを終わりたいと思います!!
次回は骨格筋の構造についてまとめていきたいと思います!!!!
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