骨学の基礎(4)軟骨の種類

今回は骨学の基礎, 「軟骨」についてまとめていきたいと思います.
〇〇軟骨は分類による名前や, 名称と混合しがちなので, しっかりと整理することが大切です.
では, いつも通り国家試験を最初に見てみましょう.


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(1)長管骨で正しいのはどれか. 2つ選べ(44-2)
 1. 骨端成長板で長軸よりも短軸方向に成長する
 2. 骨端の関節面は線維軟骨で覆われている
 3. 骨幹では海綿骨の占める割合が大きい
 4. 骨髄は造血作用のある細網組織である
 5. 骨膜には神経が存在する
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(2)関節軟骨で正しいのはどれか(45-P51)
 1. 弾性軟骨である
 2. 再生能力が低い
 3. 滑膜で覆われている
 4. 表面には神経終末が分布する
 5. 豊富な血管によって栄養される
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どうでしょうか.
(1)の問題は, すでにまとめてきた骨学の基礎①〜③で十分解くことができるかもしれません.
ここでまだまとめていない選択肢としては,
 2. 骨端の関節面は線維軟骨で覆われている
になると思います.
(2)の問題は真新しく感じると思います.

今日はこの辺りを解くことができるようにまとめていきたいと思います.


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骨・軟骨についての記事一覧
・骨の形 http://www.ptstoranomaki.com/article/448184290.html

・長管骨の構造 http://www.ptstoranomaki.com/article/448220968.html

・長管骨の構造② 〜骨芽細胞と破骨細胞 & 血管〜 http://www.ptstoranomaki.com/article/448761774.html

・軟骨の種類 http://www.ptstoranomaki.com/article/448786370.html

・国家試験問題 -骨学の基礎- http://www.ptstoranomaki.com/article/448846564.html

・骨の連結 http://www.ptstoranomaki.com/article/448875952.html

・形状による関節のタイプ http://www.ptstoranomaki.com/article/449690755.html
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(1)軟骨の種類
軟骨の種類は, 以下の3つに分けられます.

 1. 硝子(ガラス)軟骨:最も広く分布する軟骨.
           軟骨内骨化により, 骨化する軟骨.
   e.g.) 関節軟骨, 骨端軟骨, 肋軟骨, 喉頭軟骨(喉頭蓋軟骨を除く), 気管・気管支軟骨など

 2. 線維軟骨:多量の太い膠原線維の束が存在する
        外力に対して抵抗力が強い軟骨.
   e.g.) 椎間円板, 恥骨結合, 関節円板, 関節半月など

 3. 弾性軟骨:多量の弾性線維を含有する軟骨
   e.g.) 耳介軟骨や喉頭蓋軟骨など

<Point 1>
骨学の基礎でたくさん登場していた「関節軟骨」は、硝子軟骨に分類されます!!
この軟骨は骨化する軟骨で, 例えば高齢者で肋軟骨が骨化することにより, 胸郭の動きが制限されるなどの弊害が生まれます.

<Point 2>
弾性軟骨は, 字のごとく弾性力のある軟骨のことです.
一番イメージしやすいのは, 耳にあって簡単に触ることができる耳介軟骨だと思います. 柔らかく弾性力がありますよね.

そのイメージを持ちつつ喉頭蓋軟骨を考えてみましょう.
喉頭蓋軟骨は, 食べ物を飲み込む時に気管に蓋をする軟骨です. 気管という管に蓋をする時, 固い性質の蓋ではピッタリ塞ぐのは難しそうですよね...
ある程度なの弾性力があって初めて密閉されるような...
そう!お弁当箱の蓋水筒の蓋なんかもそうですよね!
空気の通り道である気管に食塊が入らないように密閉するため, 喉頭蓋軟骨には弾性線維が採用されていると思えば覚えやすそうではないですか?

(1)まとめ
1. 硝子軟骨 : 一番多く分布し, 骨化が起こる軟骨.
2. 線維軟骨 : 外力に対する抵抗力が強い軟骨.
3. 弾性軟骨 : 弾性力に富む軟骨.


※ 関節軟骨の栄養
関節軟骨には, 骨膜のように血管の分布はない. そのため, 関節軟骨は, 滑膜*から分泌される滑液から栄養を受けている.
*滑膜とは, 関節を包む関節包の内層に位置する膜である.



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(2)軟骨の成長
軟骨の成長方向は, 縦方向と横方向の2つに分類できます.

長管骨の縦方向の成長
骨端軟骨における軟骨内骨化によるもの
  骨端線は骨端軟骨が骨化した痕跡である
  *骨端軟骨は硝子軟骨に分類される

長管骨の横方向の成長
骨膜における膜性骨化によるもの

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<今回の紛らわしいポイント>
1. 関節軟骨 : 関節を覆う軟骨. → 硝子軟骨に分類
2. 骨端軟骨 : 骨幹部と骨端部を隔てる軟骨. いわゆる成長線. → 硝子軟骨に分類

関節軟骨と骨端軟骨を混同してしまうことが多いです.
骨端と聞くと, 「骨の端 = 関節面」 とイメージしてしまい, 関節面を覆う軟骨に骨端軟骨を選んでしまうケースがあります. これは間違いになるので, しっかりと整理しておきたいところです.




さて, では冒頭で紹介した国家試験を解いてみましょう.

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(1)長管骨で正しいのはどれか. 2つ選べ(44-2)
 1. 骨端成長板で長軸よりも短軸方向に成長する
 2. 骨端の関節面は線維軟骨で覆われている
 3. 骨幹では海綿骨の占める割合が大きい
 4. 骨髄は造血作用のある細網組織である
 5. 骨膜には神経が存在する
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(2)関節軟骨で正しいのはどれか(45-P51)
 1. 弾性軟骨である
 2. 再生能力が低い
 3. 滑膜で覆われている
 4. 表面には神経終末が分布する
 5. 豊富な血管によって栄養される
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どうでしょうか.
正解はこちら!
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解答と解説.pdf




以上で骨学の基礎④軟骨を終わりたいと思います!

次回は骨学の基礎の国家試験問題を10問程度見ていきたいと思います!



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